上京

東京の人には分かるまい。
高校や大学を卒業し、はるか田舎の彼方から身体ひとつで大都会に出てくる思いを。親兄弟友だち知り合い喋ったことのない近所のおじいさんまで、あらゆる財産を地元において縁もゆかりもないうえにジョイフルもまったくない駅の周りにスタバが20店もある大都会にやってくる恐怖を。
テレビのなかでしか聴かない標準語に機銃掃射され、一矢報いようとまろび出た筑豊訛りは今なんて言ったのと一撃でなぎ払われ、仲良くなったベトナムの友人にイントネーションを直されてなおここに立ち続けねばならない苦悩を。
冠婚葬祭は輪を掛けて一大イベントで、結婚のご祝儀に30,000円包むにしても帰省の交通費で同じくらいかかってまったくもって全然断然びた一文 joyful じゃないんですよ。やっぱり東京にジョイフルはないんですよ。
途方に暮れていると東京人の税金ばいと姉にはせせら笑われるし――。
上京したって楽しいことばかりじゃない。
そんなことばかり考えていたら、東京の人にドラマチックで良いじゃんと言われた。ドラマの主人公じゃん、と。月9の初回じゃん、と。髙橋海人くんに出会うんじゃない?、と。同じ場所で生活して同じことをしていても東京が地元の人たちはそんなドラマのような感情は湧いてこないよ、と。
なるほど、漫画もアニメも映画も小説もすべて主人公の感情の起伏が物語になっているのだ。なにかを感じないことには物語が始まらない。
そう考えれば悪いことばかりじゃないかという気になってくる。
これがコペルニクス的発想かと膝を打ちながら、いまスタバでmacbookのキーボードを打ち付けています。
このあと東京人の税金を支払いに行ってきます。姉のおかげで兄が増えるそうなので。

みなさん東京で待ってます。

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