先日、花見に行ったんです。
この週末を逃したらもう散っちゃうだろうと言われたあの土曜日です。
上野公園で集まっていざ、と思ったらすごい人なんです。あの人数の中を分け入ってシートを敷くのは不可能なんです。これはちょっと無理だなとなったのですが、上野公園までやってきて解散というわけにはいきません。わたしたちの手にはビールの入ったコンビニの袋がぶら下がっています。
そこで誰かが思いついたんです。谷中霊園も桜の名所だ、と。しかも地図を見ればそんなに遠くない。ビールをおいしくするための運動としてちょうどいいくらいの距離感です。その分ビールは温くなるでしょうが、そこはあきらめるしかありません。芸大や上野桜木の高級住宅街をひやかしながら、徳川家のお墓がある谷中霊園に到着しました。
目を疑いました。
ものすごい人ですし、そもそも座って花見を楽しむような雰囲気でなく、皆歩きながら桜を見ているのです。お酒を持っている人などいません。これにはまいりました。ビールはもう常温に近いです。冷たければ冷たいほどいいとされている飲み物の代表格なビールが、もう、常温なんです。
谷中霊園の真ん中あたりに公園があるのですが、ベンチは満席でシートなど敷く感じではありません。もう自棄になった我々は公園の横にある交番前で各自飲み物一気飲みです。こんな勢いで飲み物を飲んだのは高校の持久走直後以来です。目からビールが噴き出すくらいの勢いで飲み切って、さっさと鶯谷へ下ることにします。
花より焼き鳥です。
鶯谷には小説好きにお馴染みの信濃路があります。
いちおうトイレに行くときは「お花を摘みに行ってきます」というルールにして花見感を出しつつ痛飲しました。
来年またお願いします。
かしこ。